陶器と磁器の違いを専門家が解説!骨董品の価値を見極める基礎知識

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陶磁器の世界には「陶器」と「磁器」という2つの大きな分類があり、骨董品の査定や販売においてこの見極めは欠かせないポイントです。

見た目は似ていても、その構造や製法、質感はまったく異なる性質を持ち、価値の判断にも大きな影響を与えます。

特に骨董市場では、作品が陶器か磁器かによって保存状態の評価基準、時代判定、作家特定の難易度、さらには販売価格まで変わることがあります。

そのため「陶器と磁器の違いを正しく説明できるかどうか」は、骨董品に関わる人にとって必須の知識といえます。

この記事では、陶器と磁器の違いについて、実際の骨董品の取り扱いにも役立つ知識を中心にご紹介します。

 

陶器と磁器の基本的な違いとは?

陶器と磁器を一言で表すなら、陶器は「土もの」、磁器は「石もの」です。

陶器は陶土という粘土を主原料とし、比較的低温で焼き上げられます。 一方の磁器は陶石という石を砕いて粉末状にしたものを原料に、高温で焼き締めることでガラス質を帯びた硬い素材となります。

この違いによって、陶器は温かみのある厚みや素朴な風合いを持ち、磁器は白く滑らかで硬質な仕上がりになります。

吸水性の有無や、割れた際の欠け方にも特徴があり、骨董品市場ではこの性質を基準に作風や時代背景を読み解くことがあります。

特に日本では、陶器は備前や信楽、益子などの「焼き締め・土味」を特徴とする地方窯が多く、磁器は有田をはじめとする白磁・染付文化が発展しました。

こうした地域性も価値判断の重要な要素となります。

 

陶器と磁器の原料・製法の違い

陶器と磁器は、原料・焼成温度・吸水性・硬度など、根本的な性質がまったく異なります。

この違いを理解することで、骨董品としての評価がより正確になります。

  1. 原料の違い(陶土と陶石)
  2. 焼成温度の違い
  3. 吸水性・硬度・割れ方の違い

①原料の違い(陶土と陶石)

陶器の原料である陶土は、粘り気があり粒子が粗く、砂や鉄分を多く含む土です。

そのため見た目や触感に「土ものらしい温かみ」が出て、焼成後は吸水性が高いのが特徴です。

磁器の原料となる陶石は、花崗岩などの石を原料とするため粒子が細かく、白く硬質な仕上がりになります。

透明感のある白磁や、繊細な染付が表現できるのはこの陶石の性質によるものです。

②焼成温度の違い

陶器は1,000〜1,200℃ほどの比較的低温で焼かれ、素材が完全には締まりきらないため、柔らかさと吸水性が残ります。

磁器は1,250〜1,400℃の高温で焼かれ、原料がガラス化して締まり、吸水性がなく非常に硬い仕上がりとなります。

この温度差は、骨董品の割れ方・欠け方・音色にも影響し、真贋判定に活かされることもあります。

③吸水性・硬度・割れ方の違い

陶器は内部に微細な空隙があるため吸水性があり、湿気の影響を受けやすい一方、素朴で質感豊かな表情が楽しめます。

割れる際には「ボソッ」とした欠け方をします。 磁器は吸水性がなく硬質で、薄く作っても強度があります。

割れると「ピシッ」と鋭く割れることが多く、陶器とは明確に異なる性質を持ちます。

 

見た目や手触りでわかる陶器と磁器の特徴

骨董品の現場では、短時間で陶器か磁器かを判断しなければならない場面が多くあります。

ここでは、実際の査定で用いられる具体的な見分け方を解説します。

  1. 重さ・厚みの違い
  2. 表面の質感・色味の違い
  3. 音や透光性で見分ける方法

①重さ・厚みの違い

陶器は粒子が粗く厚みがあるため、同じサイズなら磁器よりやや重く感じます。

特に茶碗・徳利・壺などで比較すると、その違いが分かりやすく、手に取ったときのズシッとした感覚が陶器の特徴です。

磁器は薄く挽くことができるため、手に取ると軽快で軽い仕上がりになります。

②表面の質感・色味の違い

陶器は表面に小さな凹凸があり、釉薬のかかり方にもムラが出やすく、素朴な味があります。

色味はやや黄味・茶色味を帯びる傾向があります。

磁器は表面が滑らかで、白く透明感があるのが特徴です。

染付・色絵など繊細な文様が映えるため、高級食器や美術工芸品に多用されます。

③音や透光性で見分ける方法

陶器を軽く叩くと、低く鈍い「トン」という音がします。光にかざしても透けません。

磁器は澄んだ「キーン」という高音が鳴り、光にかざすと薄い部分がほんのり透けます。

骨董品の現場では「音色」「透光性」は非常に重要な判定ポイントであり、真贋確認の一助にもなります。

 

陶器と磁器の歴史と文化的背景

陶器と磁器は、その歴史的背景や文化的価値にも違いがあります。

日本で陶器文化が発展したのは古墳時代から奈良・平安へ続く長い流れで、土味や灰釉の表情を重視した焼物が多く生まれました。

備前焼・信楽焼・丹波焼などはその代表例です。

一方、磁器は17世紀の有田焼(伊万里焼)の誕生によって一気に広まりました。

白磁に染付を施す技法が確立され、江戸期には国内外で高く評価されるようになります。

この歴史の違いは、骨董品としての価値判断に直結します。

陶器はその土地の土質や焼成方法が強く反映され、地域色や作家性が評価されます。

磁器は技術レベル・文様の精密さ・窯元の格式などが価値の基準になります。

 

陶器・磁器を扱う際の注意点

骨董品として陶器・磁器を扱う場合、保存方法や取り扱いを誤ると大きく価値が下がることがあります。

まず、陶器は吸湿性が高いため湿気に弱く、カビやシミが発生することがあります。

保管時は乾燥剤を入れ、風通しの良い環境を保つことが重要です。

磁器は硬度が高い一方で、衝撃には弱く、特に口縁部や持ち手部分は欠けやすい点に注意が必要です。

薄手の磁器は振動によるヒビも生じやすいため、緩衝材を用いた保管が望ましいです。

また、共箱・栞・作家銘などの付属品は価値を左右するため、丁寧に保管することが査定額アップにつながります。

 

陶器や磁器の買取ならリライアンスへ

ここまで、陶器と磁器の違いについて解説してきました。

要点を以下にまとめます。

  • 陶器は「土もの」、磁器は「石もの」という原料の違いがある
  • 焼成温度・吸水性・硬度に大きな差があり、見た目や手触りでも判別できる
  • 歴史背景や作られた地域性によって骨董品としての価値基準が異なる
  • 陶器は湿気管理、磁器は衝撃対策など、適切な保管方法が必要

とはいえ、陶器と磁器の判別は、初心者には難しい場合もあります。

特に骨董品の場合、時代や窯元によって特徴が大きく変わり、真贋判定には専門的な目利きが欠かせません。

リライアンスでは、陶器・磁器を含む骨董品の査定・買取・販売を専門的に行っております。

ご自宅に眠る焼物の価値が知りたい方、遺品整理で出てきた陶磁器の取り扱いに悩んでいる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

あなたの大切な骨董品の価値を、確かな知識と目利きで丁寧に見させていただきます。

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